11月9日に再公開された「旧開智学校」を知っているだろうか?
明治9年に建てられた、「擬洋風建築」といって、昔まだ西洋建築がなかったころに、日本の大工たちが自分たちの技と知識で「洋風」につくった建物だ。令和元年に国宝に認定されている。
その国宝・旧開智学校は、ここ3年間ずっと耐震補強のために工事中だったのだが、それが終わり、ついに公開された。……で、ここからが本題。
この旧開智学校の再公開で、ぜひ見てほしいのは、改修前と「なにも変わっていない」ように見えることだ。
災害からこの国宝を守るための工事をやり終えたわけだが、文化財として大切なこの建物の見た目が変わってしまって「失敗」となる。壁や天井の内部には多くの補強材が入れられているし、釘も叩き直して再利用しているし、損傷の激しかった塔屋手すりや彫刻なども補修している。でも、それで見た目が変わってしまってはいけない。だから、見えない内部にこそ、手が入っている!
この、「何も変わっていない」ように見えることこそが、建設のしごとの真価だ。そこに隠された高度な技術力と知識、そして工事に携わった全ての人たちの真摯な取り組みに、思いを馳せてほしい。
更新日:2024.11.19 Tue